登山口に着いた頃には、すでに2時間以上も歩いていた。
樹林帯の中の登山道は汗もかかず、登りはそれ程苦にならなかったが、所々階段状に石を敷き詰めた場所では足元がふらついてしまった。
しだいに高度を増すにつれ勾配もきつくなったが、やがて視界が開け始めるとそろそろポイントも近くなったなと元気が湧いてきた。
アドバイスいただいたポイント情報をたよりに、イワノガリヤスが自生する草地の花などで吸蜜するタカネキを探したが、中々見つけられず、ポイントはもっと先にあるのだろうと、さらに登り続けポイントを通り過ぎてしまった。またその頃になると空に雲が湧き始め、陽射しが遮られるようになってきた。
「しまった」と思い、慌てて通過した草地まで下ってくると、どこからとも無く黒いジャノメチョウの仲間が飛び出して、ミヤマニガナの花で吸蜜を始めた。クモマベニヒカゲだ。この時は救われた思いだった。
確かテクラさんが、「タカネキ・ポイントではクモベニも見られるよ」と言っていたっけ。今、自分がタカネキ・ポイントの中に居ることは間違いないと改めて実感した。
クモベニは3、4頭見かけ、クガイソウやクルマユリでよく吸蜜してくれた。
D80+SIGMA 17-70mm
D80+SIGMA 17-70mm
それ以外に、黄金色の小さな蝶(後に蛾と判明)が幾つか飛んでいた。タカネキにしては黄色が目立ちすぎるが、ひょっとしたらと思いながら吸蜜したところを確認すると、残念ながら蛾のようだ。
飛翔中はタカネキに似ていた美しい蛾 D80+SIGMA 17-70mm
雲行きはさらに怪しくなり、早めに何とかしないとタカネキは来シーズンへ持ち越しかと思われた。吸蜜個体が発見できないため、食草の辺りをくまなく探すと、ようやくイワノガリヤスに静止する1頭を発見できた。
D80+SIGMA 17-70mm
空はすでに雲に覆われていたため活動も鈍く、じっくり撮影できた。
D80+SIGMA 17-70mm
D80+SIGMA 17-70mm
D80+SIGMA 17-70mm
Caplio GX8+魚露目8
これ以上粘っても別の個体は期待できないと思われた。それより雨が落ちてくる前に山を下りた方が賢明と判断して下山を始めたところ、天気はにわかに回復してきた。たださっきのポイントまで戻る気力も失せていた。すると登山道脇のシロバナグンナイフウロで吸蜜するタカネキを発見し、運良く2頭目を撮影できた。
D70+SIGMA 70-300mm
後から下山中の登山者が撮影するまで立ち止まってくれた。感謝!
D80+SIGMA 17-70mm
下山は膝に負担がかかり、休み休み時間を掛けた。それでも麓にたどり着いた時はまともに歩けるような状態ではなかった。昨夜は殆ど寝てなかったため、皆と待ち合わせた河童橋のたもとのベンチでうたた寝して帰りの運転に備えた。
案の定、中央高速は夜になっても渋滞は解消されず、帰宅は午後10時過ぎとなってしまった。タカネキは無事撮影できたが、過酷な1日だったなあ。
theclaさん、虫林さん、cactussさんお疲れ様でした。また、お世話になりました。