連日の猛暑で平地でのフィールドワークは不快そのものだ。例年、この時期に訪問する八ヶ岳方面に出掛けた。
この地域は、樹林地性と草原性の蝶を楽しむことが出来る。その中でも目的の一つに山地性ゼフィルスの撮影がある。主な対象種はアイノミドリシジミやジョウザンミドリシジミ、ウラキンシジミなどで、撮影場所はそれぞれ異なるが、活動時間に差があるため上手くいけば全ての撮影を楽しむことが出来る。
まずは活動時間の早いアイノミドリのテリ張りポイントを回ってみる。
既に7、8m先の枝でテリを張っている個体が観られるが、撮影にはもう少し近くに止まってもらいたい。時折、別の個体を追尾飛翔するが、その後も同じような位置に止まってしまう。残念だが、かなりトリミングした画を掲載した。



その後は、ジョウザンミドリやウラキンの観られる場所に移動した。
車を止めた時の車載の温度計は28℃を表示。ジョウザンミドリのテリ張り場所まで少し歩くがかなり暑い。ただ風が吹くと平地とは違って心地よい。
途中の公共トイレの壁にはミドリヒョウモンやメスグロヒョウモンが複数止まっている。

(下の写真は、上がミドリヒョウモン、下がメスグロヒョウモン)

前記事のミドリヒョウモンもそうであったが、花で吸蜜する姿より建築物の壁などに止まっている姿の方が印象深くなってしまった。
ジョウザンミドリのポイント付近は、残念ながら樹木が伐採されたりして環境が変わってしまった。近くでテリを張っていないか探してはみたものの、姿は観られなかった。ウラキンもトネリコを長竿で叩いたりもしたが姿を見せなかった。
このポイント周辺にはスジボソヤマキチョウが多いが、暑さのためか吸蜜する姿は観られず、飛ぶと直ぐに笹の葉裏などで休んでしまった。

草原に移動すると、コキマダラセセリや

ウラギンヒョウモンが多い。


周辺の低木の周りにはホシミスジや

フタスジチョウが多い。

両種とも中々止まってくれず、撮影は手子摺った。それでも運良く求愛中のフタスジチョウを撮影出来た。

帰りがけにオオムラサキの多い場所に寄ってみるが、樹上を滑空する姿が2度ほど観られた程度で、樹液などにきている個体は見つからなかった。
近くのオニグルミでオナガシジミを探したが姿はなかった。この辺りではミスジチョウや

ウラギンシジミ、

トラフシジミを撮影した程度であった。

トラフシジミはハギの若葉に産卵しているところが観られた。

他にもアサマシジミのポイントなども回ってみたが徒労に終わった。
八ヶ岳周辺には様々なポイントがあり、この時期には多くの種が観られるが、今回それぞれのポイントで満足できる成果はなかった。
山間部の民家の周りには様々なタテハチョウが観られる。
コムラサキやヒオドシチョウ、ミドリヒョウモンは建物の板壁や柱などに止まって成分を舐めているようにみえる。





庭のモモやウメの木の周りにはオオミスジが観られたが、中々止まってくれず撮影は叶わなかった。
クジャクチョウもかなりの個体数が観られた。


周辺の草地にはウラギンヒョウモンが多いが、吸蜜植物も少なく気温が高いためか、草の中に潜るような行動が目立ち、撮影チャンスは少なかった。


蝶を探している時、美しい甲虫を見つけた。体長は1㎝程だが後ろ足がかなり長い。触覚の形状も特徴的だ。思わずレンズを向けてしまった。
帰宅後、ネットで調べてみるとオオトラフハナムグリのようだ。小さいから余り目立たないが、大きければ相当人気があると感じた。
奥多摩方面に山地性のゼフィルスを観に出掛けた。
今シーズンは6月中から真夏日が続き、アイノミドリシジミなどの発生も例年に比べて早かった。そのため、標高の高い山梨方面のポイントまで足を延して、メスアカミドリシジミを主体に探してみることに。
途中、イヌブナの多い場所に立寄り、フジミドリシジミを探してみた。時折、小雨が降る中、イヌブナを長竿で叩いてみたが姿は見せない。近くにはミヤマカラスアゲハの吸水する姿がある。夏型ではあるが色彩は美しい。

フジミドリシジミは次回の課題として、さらに先を目指した。
ポイント周辺には民家も有るが、空き家が多くなっている。空き家の周辺には様々なタテハチョウが多い中、庭木にシジミチョウが纏わり付いていた。止まった所を確認すると、アイノミドリシジミの雌のようだ。

まだ新鮮な個体であったが、翅表は撮影出来なかった。暫く様子を伺っていると、山側のミズナラの樹上に上がってしまった。
この辺りはアイノも有望だが、良い撮影ポイントが見つけ出せない。時間も午後になっていたのでメスアカ・ポイントに向かった。
日の当るフサザクラには既にメスアカの姿がある。翅の傷みもあり、発生から期間は経っているようだ。



他にも卍巴飛翔を繰り返すエゾミドリシジミの姿が観られるが、撮影には不向きだ。占有行動をとる枝先もかなり高所で、翅表を写し込むことは困難だ。更に複数がテリを張るため、直ぐに追尾飛翔が始まってしまう。脚立も用意はしてはいたが、セットするまでもなかった。
エゾミドリは個体数も多いので暫く様子を伺ったが、良い撮影チャンスはなかった。取り敢えず、下から望む位置から撮影し証拠写真とした。

次回は周辺で観られたタテハチョウの仲間を報告します。
再び梅雨空が戻りそうなので、奥多摩方面に山地性ゼフィルスを観に出掛けた。
既にアイノミドリシジミなども発生しているようなので、週末には大勢の撮影者で賑わったことだろう。橋の上からそれを観察できる場所に向かった。
時刻は午前9時を回ってしまったが、一人の撮影者がレンズを向けていた。様子を聞くと何頭かが観られるという。距離はあるがブルーのシジミチョウが翅を広げているのを教えていただくと、フジミドリシジミのようだ。

他には卍巴飛翔を繰り返すアイノミドリシジミが観られる。時折フサザクラの葉などに止まって翅を開いてくれるが、こちらもかなりの距離がある。


今回はニコン1V3に70―300mmを装着しているので以前よりはかなりましだ。それでも掲載した画はかなりトリミングした。満足できる撮影は叶わなかったが、アイノの美しい煌めきを堪能できた。
その後、樹林地の中のポイントに移動して様子を観ていると、アイノの卍巴飛翔が近くで観られた。撮影には光量などが足りないので、近くに止まるのを待った。残念ながら翅表は撮影出来ない。

そのうち、アイノの飛翔スピードより遥かに遅い蝶が近くの葉に止まった。観るとフジミドリだ。直射日光が当らない葉に翅を閉じて止まっている。

時折、日が陰ると気温も下がり、近付いて撮影するも逃げる気配がない。雄のようなので、出来れば翅表を撮影したいと粘ってみるも動きが少ない。スマホのライトを当ててみたりもしたが反応がない。
暫くして、偶然にも近くの葉にもう1頭が止まった。雌のフジだ。

こんなチャンスは滅多にない。雌の方から雄に近付いてきたのに、気が付かないのか雄にはその気が無いようだ。願わくば2頭が翅を開いてくれると最高なのだが、その気配は全くない。
やがて雌はその場を飛び立ち近くの水場に下りていった。コケの生える石に止まって水分を吸収しているようだ。

暫く吸水したのち樹上に上がっていった。その間、雄から目を離していたが、再び覗いてみるとまだ葉上に止まっている。どうにかして翅表を撮影したいと思うが、不用意に飛ばすのももったいない。更に粘って、改めてレンズを向けた瞬間樹上に飛び立っていった。最後に大きなご褒美をいただいた思いだ。
奥多摩方面に山地性のゼフィルスを観に行く。
道中、例年確認しているモリアオガエルの繁殖地を覗いてみると、今年も無事に樹上の卵塊が確認出来た。


数えると10卵塊以上が確認でき、生息数は変わらないようだ。
ここ数日、6月と云うのに梅雨が明けたような夏日が続くためか、成体の鳴き声や姿を見掛けない。山に帰ってしまったのか。卵塊も乾燥してしまって中の卵やオタマジャクシも心配だ。
さらにもう一箇所の繁殖地を確認すると、池に水がない。乾いた土の様子からすると、暫く水がなかったようだ。池の上部を確認すると、2箇所ほど卵塊が確認出来るが干からびているように見える。

運良くオタマジャクシが落ちても、そこに水がなければ成体になることは出来ない。毎年かなりの卵塊を確認していたので残念だ。水場が復活するのを願った。
モリアオガエルの様子を確認した後は、ウラクロシジミの多いポントに移動。活動時間には少し早いので周辺でメスアカミドリシジミなどを探してみた。樹上に一瞬シジミチョウの飛ぶ姿を確認し、目で追っていくと葉に止まった。残念ながらムラサキシジミだ。

ルリシジミなども混じり紛らわしい。ウラギンヒョウモンも現れて樹上に止まった。

そろそろウラクロシジミが活動するだろうと待機するが、中々その活動が確認出来ない。発生はしていると思われるが、天気が良く、気温もかなり高いので活動のタイミングには少し早いのだろうか。
やがて午後3時半近くになって待望の活動が始まった。3、4頭が活動するが、適当な場所に止まってくれない。何度か静止し翅を開いてくれたが距離があった。

トリミングして掲載したが、美しい翅表を写し込むことは出来なかった。
午後4時を回った頃、マンサクに止まる個体を見つけ、様子を伺っていると雌のようだ。

しきりに新芽の近くに産卵しているようだ。

こんな時間に産卵するのかと思いながら撮影していると、そのうち小指程の太さの枝にも尾端を付けていた。

もっぱら新芽の辺り産卵するものと思っていたが、例外もあるようだ。産卵後、翅を開いて休んでくれるかと期待したが、それは叶わなかった。
帰りがけには、ウツギの花で吸蜜する時季外れのアオバセセリの姿があった。