午後になると明らかに吸蜜個体は減っていった。それでもコンビ二で買ったサンドイッチやおにぎりを食べながら辛抱強く待っていると、たまにシャッターチャンスが訪れる。そんな状況だから、ギフが翔んでくるたび食べるのをやめてスタンバイする。味わうと言うより、せわしなく腹ごしらえをした感じだ。
樹木にまとわり付きながら樹上高く上ってしまう個体も増えた。
中には幹の曲がったところで翅を休めるものもいた。その頭にはカタクリの花粉がたっぷり付着していて、満腹後に昼休みしているようにも見えた。
D70+SIGMA 70-300mm
こっちもゆっくり昼休みしたいところだが、午前中遭遇したバンドのことが気になってそれどころではない。いつまた回遊してきて吸蜜するとも限らない。
やがてその機会が巡ってきた。吸蜜するカタクリを物色していたギフがようやく一つの花に落ち着いて静止したのが確認できた。D70片手に近づくと紛れもなくさっきのバンドだ。こちらに翅表を向けて吸蜜している。ポジションはいいが、針葉樹に陽が遮られて多少暗いのが気になる。200mm側でシャッターを押し続けるも、いつ翔び立ってしまうかと焦りも伴って手ブレを起こしているようだ。
D70+SIGMA 70-300mm (手ぶれしたことで、却って白い縁取りを幅広く感じさせたと自分を慰めた)
この時ばかりは、お手頃価格に惹かれて手ぶれ防止機能のないこのレンズを選んだ自分を悔やんだ。そのうち吸蜜しながら向きを変え始めてしまった。
D70+SIGMA 70-300mm
とっさに内蔵ストロボを使って写しておいたが、帰宅後確認すると案の定ほとんどが手ブレを起こしていた。
D70+SIGMA 70-300mm (内蔵ストロボ使用)
その後は手ブレを最小限に防ぐため、慣れた17-70mmで撮影することに。
流石に2時を過ぎると回ってくる頻度も少なくなり、一旦この場所を離れて飲み物を買いに行くついでに周辺の景色などを撮影に出掛けた。
北アルプスの残雪はまだたっぷりあって大変美しい。
3時過ぎてしまったが、諦めきれずもう一度さっきのポイントに戻ってみると、陽が西に傾きかけた分、カタクリの群生する林床に陽が射していた。最後の望みを託して暫く待っていると、頻度はさらに低いがまだギフがやってくる。大方が樹上に上ってしまうが中には吸蜜していく個体もちらほらいた。
そのうち、さっきのバンドに比べて翅の白い縁取りが狭く感じられる個体を撮影できた。
D80+SIGMA 17-70mm
慣れたレンズで撮影したため手応えも十分感じられたが、果たしてバンドなのだろうか・・・
4時頃まで粘って、辺りを翔ぶギフの姿が見られなくなったのを見極めて白馬を後にした。帰路は関越道を利用したが想像以上に空いていた。ただ、往復の走行距離が540kmを越える日帰り単独強行軍は流石に疲れた。途中、道の駅でお土産を買おうと車を降りたとき、右足がつってしまった。山登りをしたわけではないのに体は正直だ。
今回はじっくり腰を落ち着けて撮影に臨んだため、イエローバンドとの対面と撮影もどうにか叶ったが、反省点も多々あり来年の訪問も予定に入れておこう。